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□┓  第二話
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 ミヅキが俺に弟子入りしてから月日は流れ、彼女の戦士としての技量は着実に上達していった。

 装備も戦利品や自作の革防具を段々強力なものに取り換えて、赤デーモン程度なら危なげなく戦えるぐらいにはなっていた。

 スキル構成も色々試しているようで、メイス戦士をベースに裁縫、牧羊、料理、釣り、細工などなど、色んなスキルを上げ下げしていた。

 最近はどうやらテイマー系に興味を持っているようだ。


 ミヅキも俺の所属しているギルドに入り、他のみんなともうまくやっていた。

 しかしギル活以外で狩りに行くときは必ず俺に声をかけてくる。

「ししょー! 今日はシェイムに行きませんか〜?」

 このあとメイジ部屋でレスキル祭りになった。

「ししょー! ロストランドの灯台見物に行きましょう!」

 蛇城に迷い込んで酷い目に遭った。

「ししょー! ダスタードのドラゴンを見に行きましょー!」

 ノーマルドラゴンだと思って殴りかかった強ドラゴンに返り討ちにされた。

 2人とも幽霊になってヒーラーを探して走り回るのなんてしょっちゅうだった。

 そんな修行時代の苦労話や失敗談も、今となっては楽しい思い出だ。


 やがてミヅキも自分の家を建てることができた。

 そんな頃にはもうすっかり戦士として成長して、俺が教える事はほとんど無くなっていた。

 それでも相変わらずミヅキはオレを師匠扱いして慕ってくれた。

 そんな風に懐いてくれる女の子を邪険に扱うような真似ができるわけも無い。

 かといって下心があって親切にしていると思われるのも嫌なので、なんとなくぶっきらぼうな態度で接していた。

 そんな態度の延長でリアルには興味が無いよう振舞っていたため、ミヅキのリアルのことを俺はほとんど知らなかった。

 せいぜい『時々試験勉強の話をするから学生さんなんだろうな』ぐらいの認識だった。

 ミヅキはミヅキで『私チャットだったらいいけど、ちゃんとした文章書くの苦手なんです』と言って、メールなどで直接やり取りをすることもなかった。


 そんなわけでおのずとリアルの話をすることはほとんどなく、お互いロールプレイキャラとして接するのが習慣になっていた。

 そんな関係の中、ミヅキを異性として意識しなかったといえば嘘になるが、俺は極力その気持ちを隠すように努めた。

“師匠と弟子”という関係が心地良かった俺は、二人の関係はずっとこのままでいいと思っていた。

 今にして思えば、異性として意識していることをミヅキに知られることで、あの関係が壊れてしまうのが怖かったのだろう。

 しかしそんな俺の考え方を変える出来事が起きた。

 きっかけはギルドメンバーのUO婚だった。

 軽い気持ちで参加したのだが、それが後々あんなことになるきっかけを生むとは、その時の俺は知る由もなかった。


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