Deal・ミズホ武芸帳

第9話 「異国の地 − デルシア −」

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コブトスで自分の成長を実感した後、俺はより強い相手を求めて別の場所に行ってみることにした。

候補地は2つあり、一つはブリタニア大陸の西方にあるダンジョン「シェイム」。

昔は坑道として栄えたらしいが、今は危険な精霊達がうごめく危険な廃坑だ。

そしてもう一つはロストランドにあるという「死の街」。

ここはアンデッドたちが住まう街で、そこにはジェロームの墓場にいたアンデッドとは比べ物にならない、

強力な力を秘めた者もいるらしい。

ブリテンからロストランドへ通じる通路があるようだが、ロストランドに着いてから死の街へは

非常に長い距離を移動しないといけないらしい。

俺はひとまずシェイムに行ってみることにした。


ブリテンの街から西へ西へと馬を走らせる。

街道を走り、森を駆け抜け、オークの集団やリッチが生息するという危険地帯を通り過ぎ、

俺はやがて大きな山脈のふもとにたどり着いた。

山脈を越え、海沿いの森の中を地図に従って南下して行くと・・・前方になにかの気配を感じた。

これは・・・人の気配じゃあない。

なにかもやのようなものが前方の木々の間を漂っている。

間違いない、あれはエアエレメンタルだ・・・!

こちらが気付いたと同時に相手もこちらに気がついたようだ。

奴は風の唸りをあげて俺に襲いかかってきた!

その激風によって生じたかまいたちで、たちまち俺の体は傷だらけになっていく。

そしてゲイザーに優るとも劣らない魔法攻撃が俺を激しく痛めつける。

離脱して傷を治療してまた攻撃。しかし大ダメージを受けてまた離脱・・・

強い! これまで出会った中で一番の強敵だ! 自分がまだまだ井の中の蛙だと実感した。

こちらの攻撃はことごとくかわされ、こちらは一方的にダメージを受け続ける。

毒化の呪文とエナージーボルトの呪文を連続で撃ち込まれて一瞬意識が遠のいたが、

最後の1本の解毒ポーションと、とっさに使った回復魔法のお陰でなんとか踏みとどまる事ができた。

・・・かなわない・・・?!

くやしいが俺は撤退することにした。

森の木々の間を駆け回り、なんとか奴をまくことができた。

そして気付くと、俺は偶然シェイムの入り口に辿り着いていたようだ。

このままシェイムに入ってみようかとも思ったが、先程の戦闘で解毒ポーションが無くなり、

しかもいつの間にか鎧まで破損していたので、ルーンだけ焼いて装備を整えるためにブリテンに戻ることにした。


[エアエレメンタル > Deal]


ブリテン北の鍛冶屋に向かう前に、俺は現在の自分の装備を見直してみた。

身軽に動けるとはいえ、やはりこれから出会うであろう強敵を相手に鋲付き革鎧では役不足に思える。

多少武器の取り扱いがしにくくなるが、防御力を上げるために全身をプレート鎧で覆うことにした。

ブリテンに戻って鍛冶屋にいた人に聞いてみると、自分の店に高品質の鎧が色々あるからと案内してくれた。

ふむ・・・なかなか安い。

ここで鎧を一式揃えることにし、ついでに痛んでいた武器も買い替えた。

少し動きにくいが、防御力は格段に上がったはずだ。

店主と別れて現在地を調べてみると、ここがトリンシックの南の地方であることがわかった。

以前地図で見た、ロストランドへの通路がこの近くにあるはずである。

せっかくの機会だったので、このままロストランドへ行ってみることにした。


ロストランドへ通じる洞窟は比較的すぐに見つかった。

そして洞窟に入り、薄暗い中を進んで行くと出口らしい光を見つけた。

そこから外に出ると・・・そこには異国の風景が広がっていた。

ロストランドに2つある街の一つ、デルシアに俺は到着したのだ。


早速街の中を歩き回ってみる。

遠い異国の地とはいっても、そこで生活しているのは同じブリタニアの人々だ。

俺はすぐにこの街が気に入った。

宿屋で旅の疲れを癒しながらこれからのことを考えてみた。

シェイムへはルーンがあるのですぐに行ける。

死の街はデルシアから比較的近い場所にあるので、行こうと思えばすぐにでも行けるだろう。

元々は装備を整えるだけのつもりだったが、思いがけずデルシアまで来れたことは幸運なのだろう。

このまま死の街に行くのも悪くない。

それに最近剣の修行と並行して練習していた「扇動」が、アンデッド達にも効果があるのか試すのもおもしろそうだ。

剣や盾を扱いつつリュートを奏でる方法をブリテンの音楽ギルドで習ったときはかなり戸惑ったが、

今ではずいぶん扱いになれて剣技と演奏を無理なく交互にこなせるようになった。

扇動を使いこなせば死の街でもきっとうまく立ち回れるに違いない。

アンデッド達との戦闘に効果的な銀の武器はまだ持っていないが、現在の装備でどれだけ戦えるか試すのも悪くない。

俺は装備を整え、死の街へと向かうことにした。


<Swordsman Ship GM達成>
<Musician Ship 99.9%(ロック)>





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