Deal・ミズホ武芸帳

第5話 「洞窟に住まうもの − デスパイズ −」

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ブリテンから馬で行ける一番近いダンジョン、デスパイズ。

ここは駆け出し冒険者の俺にはちょうどいい修行場所だ。

そんなわけで俺は、ブリテンの北の森をデスパイズに向けて北上していった。

森の中に武器屋があったので、品質の良い武器がないかと思い入ってみた。

店の品には武器の他にスクロールやポーションも置いてあったので、

冒険に必要そうな装備をここで色々調達することにした。

買い物を終えて店の外に出ようとすると、店外になにか不穏な気配がする・・・

窓からそっと伺ってみると、森の木々の間に1体のエティンの姿が見える。

そして同時にヤツもこちらに気づいたらしい。雄叫びを上げながらこちらに向かって突進し始めた!

俺は店の外に飛び出し、今買ったばかりのカタナを抜き放って身構えた。

相手にとって不足はない! こい!

敵の初撃を盾でかわし、隙ができたところをカタナで斬りつけた。よし! 効いている!

二つの顔が一瞬苦悶の表情を浮かべたが、構わず手にした棍棒を振り回してくる。

ちっ、なんてタフなヤツだ!

だが今手にしているカタナは名のある鍛冶屋の鍛えた銘刀。軽く扱える割に切れ味は鋭い。

そして手数の勝負なら俺の方に分があった。俺の連撃の前に、ヤツはほとんど防戦一方だ。

時折盾で受け損ねて相手の攻撃を受けたが、ほとんどがかすり傷で済んでいる。

それにひきかえヤツはもう倒れる寸前だ。

そしてとどめの一撃! こうしてエティンは地面に倒れ伏した。

数日前の俺ではこうはいかなかっただろう。

修行の成果の現れに満足し、これから向かうダンジョンでの修行に自信が湧いてきた。


[Deal > エティン]


岩山の山道を抜けでしばらく進むと、地図で見たとおり山肌に洞窟が口を開けている。

間違いない、ここがデスパイズだ。

明かりの呪文を唱え、俺とWhiteCloudは中へと進んでいくと・・・中は真っ暗だ。

明かりの魔法の効果がないのか? 再度呪文を唱えるが変化はない。

まぁ多少不便だが、せっかく来たのだから気にせず修行を開始することにしよう。

俺は階段を上っていった。


洞窟の中には既にあちこちにリザードマンの死体が転がっている。どうやら他にも大勢冒険者がいるようだ。

暗闇の洞窟を進んでいくと、リザードマンと戦っている冒険者達に出くわす。

よし、俺もそろそろ始めるか。

カタナを抜き放ち、洞窟の奥からぞろぞろと現れるリザードマン達に俺は向かっていった!


リザードマン達の戦法は大勢で相手を取り囲み、絶え間ない攻撃で相手に反撃の隙を与えずに倒す、というものらしい。

だがそんな戦法は俺には通用しないぜ!

俺の着込んでいる鎧は充分な防御力を備えているし、盾の扱いも慣れてきた。

奴らより俺の攻撃の方が早いから一方的に押されることもない。

それに例え四方を取り囲まれても、一体ずつ着実に倒していけば何とかなる。

万が一受けた傷が深くなったら少し間合いを取って傷を応急手当し、また攻撃を開始する・・・

そうやって10体近くのリザードマンを倒していった。

それにしてもまったく次から次へと・・・

そろそろリザードマンでは修行相手が勤まらなくなってきたようだ。

俺はもっと強い敵を求めて、下の階に降りてみることにした。


[Deal > リザードマン×4]


この階にも既に多数の冒険者達が来ているようだ。あちこちに倒れているエティンの死体がそれを物語っている。

実際エティンやアースエレメンタル達と交戦中の冒険者グループが何組もあった。

彼らの邪魔をしないように奥へと行き、敵を探していると・・・通路の影からエティンが襲いかかってきた!

だがエティン1体では今の俺の脅威にならないことは先の対戦で分かっている。

だが油断はできない。何しろここは敵の巣窟、ダンジョンの中なのだ。

案の定もう一体エティンが現れ、加勢してきた。だがまだ何とか持ちこたえられる。

攻撃の的を片方に絞り、斬撃を集中させる。もう一体の攻撃は盾が何とかしのいでくれるだろう。

そうやって何度も斬り結んでいるうちに、なんとか1体を倒すことができた。

だが安心したのも束の間、奥から2体のエティンが現れた! いいだろう、まとめて相手になってやる!


何度目かの負傷による離脱中、通り掛かりの冒険者が俺に近づき、俺の傷を手早く治療してくれた。

俺は礼を言い、再びエティン達の真ん中に飛び込んでいった。

どうやら彼は俺がこのエティン達を倒すまでバックアップをしてくれるようだ。

すまない、助かるよ。

「いや、気にしないでいい。頑張れ!」

やりとりは短かかったが、お互いの気持ちは充分に通じた。なんだかとても心強くなった。

これが仲間意識というのだろうか?

これまで一人で行動することしか考えていなかったが、冒険者仲間というのも良いかもしれない。そんなことを感じた。


彼のお陰でなんとか3体のエティンを倒すことができた。たぶん1人では倒せなかっただろう。

もう一度礼を言おうと振り返ると・・・もう彼はいなかった。

結局お互い名乗り合うこともできなかったな。

だがこの世界で冒険者を続けていればきっと彼にはまた会える。

その頃には俺ももっと強くなっていて、彼と肩を並べて戦えるようになっていよう。

そんなことを考えながら、俺はデスパイズの出口に向かった・・・


[Deal > エティン×2]
[エティン×3 > Deal]



出口前の広間からなにやら激しい戦いの音が聞こえてくる。一体どうしたんだ?!

急いで階段を駆け上がると、20体近いリザードマンがひしめいていて、数人の冒険者が戦っていた!

俺も加勢に加わるべく剣を抜き放ち、手近にいたリザードマンに斬りかかっていった・・・!

攻撃の合間に周りを見ると、冒険者側にも犠牲者が出ているものの、徐々にリザードマン達は倒されていっているようだ。

バードが同士討ちを誘い、メイジが炎の壁でリザードマンを焼き払い、戦士達が次々ととどめを刺していく。

冒険者側はもちろん初対面同士だったが、おのおのが自分の役割を理解し、適切に対処してゆく。

その甲斐あって、結局1人の犠牲者を出しただけでリザードマンを全員倒すことができた。

やれやれ、一体何事だ?

落ち着いたところで話を聞いてみると、どうやら上の階にいたリザードマン達が、冒険者を追ってここまで降りてきたそうだ。

そういうこともあるのか・・・

その後みんなで労をねぎらい合い、再びそれぞれの冒険へと旅立っていった。


俺は先の戦闘で盾が破損してしまったため、一旦ブリテンに帰ることにした。

洞窟を出たところで、振り返って岩山を見上げてみた。

しばらくはこのデスパイズが俺の修行の場となることだろう。

最下層にはオーガ族の首領を筆頭とした、様々な巨人族が巣くっているという。

挑戦し甲斐のあるダンジョンだ。俺の頬には笑みが浮かんで仕方がなかった・・・




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