Deal・ミズホ武芸帳

第3話 「さまよい歩く者たち − ジェローム墓場 −」 

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ゾンビは想像していたよりは弱かった。

スケルトンは多少手こずったものの倒せない相手じゃない。

しかしスペクターやシェイドは強敵だった。

こちらにかけてくる魔法は大した威力じゃないので良いのだが、予想以上に防御力があって

なかなか相手に致命傷を与えることができない。

しかも戦闘に時間がかかるので、ゾンビやスケルトンが次々と現れて邪魔をしてくるので始末が悪い。

だがヒット&アウェイを繰り返し、俺と同じようにここで修行をしている他の冒険者と協力しあったりして

なんとかこれまではしのいでいる。

色々な武器を使って、剣技以外の戦闘技術も磨いてみる。

最後には素手でスケルトンと取っ組み合いをしてレスリング技術を磨いたりもした。

そのお陰でここに来たばかりの時とは比べものにならないほどの、強靱な体力と敏捷性を得ることができた。

もっとも、まだ一人前と言える程じゃあないがな・・・

しかし包帯が切れたので、羊毛を手に入れるのと腕試しを兼ねて、再び牧場へと向かった。


[Deal > スケルトン]
[スケルトン×2 > Deal]
[スペクター > Deal]



牧場の柵を抜けて剣を抜き放つ。この剣もずいぶん手になじんできた。

さて、実際の腕前はどれだけ上がったかな?

俺は近くを無警戒に歩いている牛へと足を進めた。

するとこちらの殺気に気づいたのか、牛は突然こちらを振り向き、角を突きだして襲いかかってきた!

俺はその突進を避けざま、牛に斬りつけた。猛り狂う牛の反撃を盾でかわし、もう一撃。

あっけないほどたやすく牛は地面に倒れ込み、もう動くことはなかった・・・

墓場でアンデッドどもを相手にしている間に、俺はずいぶんと腕を上げたようだ。

実際身体が軽いし、相手の急所もおぼろげながら視えるようになってきた。

戦闘の要領を得た俺にとって、動物の相手は既に「修行」ではなく「狩り」レベルになっていたようだ。

もっとも、雄牛にはまだ敵わなかったのは悔しいが事実だ。まだまだ修行の必要はある。

その後包帯を作るのに充分な羊毛と、食料の肉切れや皮を大量に手に入れることができた。


[Deal > 雌牛]
[雄牛 > Deal]



裁縫屋に道具を使わせてもらい、包帯を作る。些細な節制だがお陰で金も少しずつ貯まってきた。

今のところ大金は必要としていないが、近い将来の旅路に備えて元手は多い方がいい。

現に俺の食事は全て、自分が狩った動物の肉を自分で焼いたものだ。

もっともたまに野菜が欲しくなると道具屋の樽から失敬しているがな・・・

動物の肉で思い出したが、料理というのはやってみると案外おもしろいものだ。

思わず夢中になって肉を焼いていたが、骨アーマーを装備した男が鼻歌混じりに料理している姿は、

パン屋の主人にはさぞ不気味に映ったに違いない・・・



一晩宿を取り、充分休息をとった俺は再び墓場へと向かった。

すると入り口の柵のところで男が一人おろおろとしている。

どうやら連れていた荷ラマが墓場のアンデッド達に興奮して、言うことを聞かなくなっているようだ。

柵越しに威嚇しあうラマとアンデッド達。

俺は動物をなだめる方法をまだ身につけていない。しかし今の俺にもできることはある!

すかさず剣を抜き放ち、墓場の中に飛び込んだ!

貴様達の相手はこの俺だ!

気配を察してこちらに振り返るアンデッド達。そしてすかさず俺に襲いかかってくる!

俺はそのままじりじりと後退を始めた。

こうやって徐々に柵から離れていけばいずれラマの興奮も収まって、飼い主の言うことを聞くようになるだろう。

そして俺は墓場の奥へと奴らをおびき寄せることに成功した。

・・・さて、そろそろ反撃に移らせてもらうぜ!



さすがに1人で複数の相手にするのは辛かったが、所詮知能の低いアンデッド達だ。

ヒット&アウェイで1体ずつ片づけているうちに、視界の中で動くものはもういなくなっていた。

しかしさすがに何カ所も傷を受けていたので、包帯で血止めをしながら外に出ようと

入り口の柵に近づくと・・・先程のラマが死んでいた。

どうやら別のアンデッドに殺されてしまったらしい。残念だ。俺にもっと力があったら・・・

しかし過ぎたことを悔やんでも仕方がない。

その日は夜になるまでそのまま墓場で修行に明け暮れることにした。

お陰でスケルトンを同時に2体相手にできるようになったし、

スペクターとも一対一なら勝負になるようになった。

充分な修行の手応えに満足し、その日は宿を取ることにした。

そろそろジェロームを出て別の修行の場を探すことにしよう。

さて、どこへ行こうか・・・?


[Deal > スケルトン×2]
[Deal > スペクター]




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