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□┓ 第五話
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ピンクナデシコを手に入れるには、まずrare
pink seedというピンク色の種を手に入れる必要がある。
これは街の図書館で受けることができるクエスト“巨大蟻の謎”の報酬として入手できる。
このクエストは巨大蟻Solen族の巣を調査するという内容だ。
巣の中はダンジョン状の構造になっていて、名前通りの巨大な蟻たちが徘徊している危険な場所だ。
クエスト報酬でrare pink seedが100%もらえるわけではなく、更に必ずしもピンクナデシコが育つわけでもないため、このクエストは何度も繰り返す必要があった。
そしてミヅキには秘密にしていたので、一人で行動しないといけなかった。
ちょうどその頃、間の悪いことにリアルの仕事が忙しくなり、UOにログインする時間がぐっと減っていた。
ピンクナデシコがなかなか手に入らない事に焦っていた俺は、一人で行動するためにミヅキの誘いを断ることが多くなっていた。
「悪い、今日もあと20分で落ちないといけないんだ」
「ししょー、最近ずっと忙しいんですねぇ」
「落ちるまでにちょっとやっておきたいことがあるから、狩りはまた今度な」
「分かりました! いってらっしゃーい(^▽^)ノシ」
仕事が更に忙しくなって深夜に帰宅するようになると、ミヅキとはプレイ時間が完全にずれてしまった。
俺は少ないログイン時間を全て種入手クエストに費やし、繰り返し蟻の巣に通った。
そんな努力が報われて、クエストを開始して1か月程経った頃、ようやくピンクナデシコを2株手に入れることができた。
仕事の繁忙期もちょうど終わり、久しぶりにまともな休みが取れるようになった俺は、次の休日にミヅキにピンクナデシコを渡すことに決めた。
ミヅキの驚く顔を想像して、その日が待ち遠しくて仕方なかった。
待ち合わせ時間の連絡をしようとギルドの掲示板を覗くと、数日前のミヅキの投稿があった。
そこには短い文章で一言、
「リアルの都合でUOを休止します」
と書いてあった。
俺の頭の中は真っ白になった。
なんだよそれ!? 聞いてないぞ!
ここしばらくミヅキと会っていなかったが、休止するなんて話は一言も無かったぞ!?
俺は慌ててギルドのIRCに入室し、挨拶もそこそこにミヅキのことを聞いてみた。
みんなもこの話には驚いていて、休止した理由は誰も知らなかった。
ただ俺のログイン時間が減った時期から、目に見えて元気が無くなっていったらしい。
俺にはいつも通りのミヅキにしか見えなかったが、実際そうではなかったようだ。
フィオナさんなら何か知っているのでは?と言われ、俺はギルドハウスに向かった。
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