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その10 最終話



「たーすーけーてー」


・・・あ、こんにちは。
いつの間にいらしてたんですか? 裁縫バルクの山で見えませんでした。
そんなにビックリしないで下さいよー。あはは、まるで幽霊でも見たような顔してますよ。

え? これですか? ああ、これはTakky先生から預かっていた裁縫バルク証書ですよ。
そこのGiant Beetleの鞄の中やボクの銀行にもたくさんあったんですが、あとこれだけで整理完了です。
あ、この分厚い本ですか? これは最近発明されたバルク管理本ですよ。
この本に綴じれば今までのように鞄いっぱいに保管しなくても済むらしいんで、
Takky先生に言われて整理していたところなんです。
実は今までボクは先生に任命されて「バルク管理大臣」という重要な仕事についていたんですよ!
仕事内容は、毎日先生が貰ってくるバルク注文書をしっかり保管することです。
これ1枚で家が買えるぐらい高価なものだそうで、この間のルーンブックみたいに無くしたら
先生の開けたゲートに何も持たずに入るって約束させられましたよ。
あ、ちなみに保管している間は特典として、毎日焼き魚食べ放題なんていう夢のような待遇でしたよ!

でもバルク管理本登場のお陰でボクはお払い箱のようです。
最近騎士道とやらのお陰でリコールスクロールの売れ行きが落ちていて、書写のバイトの仕事も減ってきています。
これからどうやって生活費を稼ごうかなぁ。
命より大事なコレクションだけど、死んでも消えないローブとして売りに出そうかなぁ。
あ、そういえば先生から餞別に鎧一式をもらったっけ・・・
実はボク、これまで鎧なんて着たことが無いんで「ヒヤクテイゲン装備」って言われてもなんのことか良く分からないんですけど、
これさえあれば一人で生活ができるそうなんで、まぁ頑張ってみようと思います。

あ、その箱ですか? それは先生が書いてくれたレシピ通りに作った魔法の箱です。
なんでも危なくなった時にその箱開けると、そのあとはヒーラーに出会うまで一切ダメージを受けなくなる箱だそうです。
それでさっき試しに開けてみたんですけど、特に強くなった気はしないんですよ。なんなんでしょうねぇ?
ただちょっと気になるのは箱の近くに骨があることなんですが・・・まぁいいか。
あ、そうそう、そういえば最近新しいスキルを習得したんですよ。
霊話っていって、幽霊の人が何を言っているか分かるんです。
え? ・・・なんでボクの霊話がGMだって分かったんですか? ・・・見れば分かる? へー、すごい観察力ですね!
骨が消える、ですか? ああ、そうですね、こーゆーのは自然と消えますよね。便利便利。
どうしたんです溜息なんてついて。心配事があるなら相談にのりますよ? あ、いいですか。

さて、それではそろそろ旅に出る事にします。・・・はい、お互い良い旅をしたいものですね! お気をつけて!
・・・よし、ボクも出発しよっと。まずはスカラブレイに行ってみようかな〜。
Kal Ort Por・・・あれ? 鞄が開かないな・・・
あれ? いつの間に灰色ローブに着替えたんだろ・・・?
あれれ? ・・・これはひょっとして・・・ヒーラーさぁぁあん! わあああん! An Corp! An Corp!



Cinderくんの灰色世界  おしまい

2004.01.26初出





蛇足な補足

■先生の開けたゲートに入る約束

Takkyはデスルーン収集家でもあります。


■ヒヤクテイゲン装備
秘薬低減効果の合計が100%になると、秘薬を消費することなく魔法が使えるようになり、
瞑想可能で100%のセットはそれなりの値段で取引されています。
Takkyの心遣いも、マジックアイテムの知識に疎いCinderくんには届かなかったようで・・・
(ちなみにその後、Cinderくんはマナ回復効果付きの秘薬低減セット収集家になるわけですが)


■魔法の箱
細工GMにも関わらず罠箱を作ったことのないCinderくんに、Takkyが冗談で言ったことを信じ込んでいる様子。
ちなみに「オープン罠箱」のレシピを教えたようで・・・


■霊話GM
霊話がGMになると、幽霊状態でも普通にセリフが表示されるようになります。

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