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その5



[Takky特製ルーンブックの行き先]


ほらほら、このルーンちょっと見てみて下さいよ。ボクが焼いてきたんですよ。
ルーンの名前は“Covetous Lich DeathRoom”って付けました。いいでしょ〜。
え? どこのことか分からないですか?
じゃあ今日はこのルーンを焼いてきた時のことをお話ししましょう。

いつものように旅をしていたときのことです。たくさんのスケルトンに追いかけられたので逃げ回っていると、
いつの間にやらコブトスの最深部に来ていました。
リッチが出口の所にいて外に出られなかったので、仕方なく奧に行ってみました。
ボクが通路を歩いていると、後ろから何人もの冒険者がやってきては次々とある部屋に入って行くんです。
そしてかなり大勢入っていったはずなのに、人の気配が無いうえに、部屋から誰も出てこないんです。
恐る恐る中を覗いてみると・・・なんと部屋の中はカラッポ!
ひょっとしてさっき見たのは幽霊だったのかと怖くなっちゃいましたよ。
でも謎はすぐに解けました。また人が入ってきて、「拷問!」って叫んだらふっ、と姿が消えたんです。
どうやら合い言葉でテレポートする仕組みだったようですね。早速ボクも叫んでみましたよ。

一瞬周りが暗くなり、気がつくと幅の狭い、宙に浮いてるみたいな道に立っていました。
周りは完全な暗闇で、見えるのは自分の足元の周りだけなんです。
落っこちないようにうまくバランスをとりながら道を進んでいくと、突然地面からでっかいトゲが突き出したんです。
あれにはビックリしましたねぇ。
更に進むともう一本トゲが飛び出してきたんです。よーく見るとトゲが出るタイミングって一定なんですね。
タイミングを見計らって一気に駆け抜けましたよ。途中で転んじゃって焦りましたけど、何とか走り抜けました。
無事トラップ地帯を通り抜けたみたいだったので振り返ってみると、ボクの後から来た人でしょうか、
男の人がトラップにかかって死んでいました。まるで自分を見ているようで、思わず同情しちゃいましたよ。

道の行き止まりには下に降りる階段があって、下から大勢でサンドバッグを叩くような音が響いてきてました。
なんだろうと思って降りてみると、大勢の冒険者が一体のゾンビを取り囲んで戦闘を繰り広げているじゃないですか!
ボクも加勢しようと呪文を唱えたんですが、魔法が発動しないんです。
秘薬が切れたのかとバッグを開けようとして気がついたのですが、いつの間にか死んでたんですねー。不思議な話です。
仕方なく戦闘の様子を見ていると、ふと、Takky先生から聞いたある話を思い出したんです。

『コブトスにはロッティングコープスという緑色のゾンビがいて、緑先生と慕われて冒険者達に稽古をつけているんです』

どうやらボクが辿り着いたのはその場所だったようです。いやぁ、すっかり忘れてましたよ。
そうそう、あとあの部屋では『言ってはいけない言葉』というのがあって、えーっと・・・あ、RelですRel。
・・・はい、あの時も思わず口に出して言っちゃいました・・・
まさかあんなリッチが6体もいる狭い部屋に放り込まれるとは!
・・・まぁ死んでたんで全然平気でしたけどね。

その後ダンジョンを出てヒーラーさんに蘇生してもらったあと、Takkyハウスで先生にその話をしたら
先生は笑顔でボクにルーンを渡したんです。
ルーンと先生の顔を交互に10回は見ましたね。
『私の代わりに焼いてきてネ♪』・・・って言われたんで即リコールしようとしたら、また秘薬が切れてました・・・

まぁ居候してる身ですし、防御魔法の効果で5秒ぐらいなら生きていられそうだったんで、渋々行ってきましたよ。
ええ、そして焼いてきたのがこのルーンです。ふふふ、まだ先生には渡していませんよ。
これはボクのバイト代UPのための大事な取引材料ですからね!無くさないようにルーンブックにしまっておきます。
・・・あれ? 入らないぞ? どうしたんだろう。 ルーンブックがいっぱいなのかな?
あれれ? “an unmarked recall rune”って名前に変わってる。 おっかしいなぁ〜?
昨日寝る前に見たときは確かに焼けてたんだけどの・・・無くさないように保管箱に入れておいたのに・・・変だなぁ。
・・・まぁいいか。

では、今日はこれぐらいで。・・・An Corp!

2002.03.05初出





蛇足な補足

■「拷問!」

コブトスの緑先生部屋に行くためのキーワード「torture」のこと。


■男の人がトラップにかかって死んでいました
Cinderくんには、自分が死んだ事に気付かない、という特技があります。


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